持続可能な漁業

サステナブル&エシカルなツナ缶は確認できず、ツナ缶の調達方針をグリーンピースが調査

サステナブル&エシカルなツナ缶は国内大手企業で確認できず、ツナ缶の調達方針についてグリーンピースが調査

インドネシアの排他的経済水域に近い国際水域で、「Heng Xing 1」号の船上で違法な積み替えが行われている様子。カンボジア船籍のこの船は、フィリピン漁船とインドネシア船2隻から冷凍マグロを違法に積み替えており、いずれの船も操業許可を得ていない太平洋公海上で摘発されました。国際法上、有効なライセンスがないということは、魚の積み替えを含むいかなる漁業活動も禁止されています。国際法上、船舶から船舶への魚の積み替えは、違法・無規制・無報告の漁業活動を助けることが証明されているため、国際水域では禁止されています。グリーンピースの活動家が「Heng Xing 1」に乗船したところ、船倉には、欧米のマグロ缶詰市場向けと思われるカツオやキハダの幼魚が満載されていました。キハダマグロは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「準絶滅危惧種」に分類されています。海賊行為は、監視が難しい国際水域でよく見られます。グリーンピースは、「パシフィック・コモンズ」と呼ばれる4つの公海上のポケットに海洋保護区のネットワークを構築し、これらを禁漁区とすることを求めています。

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区、以下グリーンピース・ジャパン)は、本日7月13日(木)、国内大手の小売業18社とメーカー2社の合計20社を対象とした「マグロ類缶詰・パウチ(以下、ツナ缶)の調達方針に関する調査」の結果を発表し、回答のあった15社のうち、持続可能性と社会的責任の観点からツナ缶の調達方針を設定し、それを遵守した調達または製造(委託を含む)をしている企業は確認できないことがわかりました(注1)。

今回の調査は、メーカーから小売までを含めたツナ缶のサプライチェーン全体に持続可能で社会的責任のある調達を促し、日本国内にサステナブル・シーフードの普及を目指しています。サプライチェーンが鮮魚に比べて複雑な加工品であるツナ缶は、トレーサビリティが不透明になりやすく、過剰漁業や混獲などによる海の生態系の破壊、違法・無報告・無規制漁業(以下、IUU漁業)や労働者の人権問題に関わってきます。実際に、グリーンピースがタイとインドネシアで行なった調査でも、マグロ漁における人権問題が見つかっています(注2)。

<調査の主な結果>

●ツナ缶原材料に絶滅危惧II類メバチマグロと乱獲状態にあるインド洋系群のキハダマグロの使用確認。

メバチマグロはIUCNレッドリストで絶滅危惧II類に指定されていますが、3社(セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ライフ)で使用が確認、乱獲状態にあるインド洋系群の準絶滅危惧種キハダマグロに関しては、8社で使用が確認されました。

●今回の調査では、資源と漁法において生態系に最も負荷が少ないツナ缶は、一本釣りでとられたビンナガ(ビンチョウ)マグロ。

2社(はごろもフーズ、ヤオコー)で販売を確認。ビンナガ(ビンチョウ)マグロは準絶滅危惧種に指定されていますが、乱獲状態にはない北太平洋系群で、また、一本釣りの漁法でとられている点から、より海の生態系に負荷がないといえます。

●巻き網漁船での人工集魚装置(FADs)の使用を禁止している企業はない

サステナブル&エシカルなツナ缶は国内大手企業で確認できず、ツナ缶の調達方針についてグリーンピースが調査

グリーンピースがガラパゴス諸島北部周辺で記録した、エクアドルの巻き網漁船「Ingalapagos」の魚群探知機の周りを泳ぐアカウミガメ。 巻き網FAD漁で発生する漁獲量の約10%は不要な混獲で、絶滅危惧種も含まれています。
LAT 04:07 NORTH / LONG 091:28 WEST

ツナ缶原材料マグロ類の主な漁法は、巻き網でした。巻き網漁でしばしば使われる人工集魚装置(Fish aggregating devices:以下、FADs)は、漁の対象であるマグロ以外にサメ、ウミガメ、未成魚のマグロなどの生きものをとってしまう原因となります。

●洋上転載に由来する原材料の調達を禁止している企業はない

洋上転載(※海の上で積み荷を移し替える行為)は何カ月、ときには何年にもわたり遠洋で漁を続けることを可能にし、違法漁業や労働者の人権侵害を助長する懸念があります。

グリーンピース・ジャパンの海洋生態系担当、岡田幸子は「日本は世界有数の魚食文化を誇りますが、サステナブルかつエシカルに調達された製品の普及はまだこれからです。海外では、世界最大のツナ缶企業タイ・ユニオンがグリーンピースや消費者の声に応え、サステナブル・シーフードの普及に舵を切るとともに、労働者の生活を向上させると発表しました(注3)。日本市場もその変化の波に乗るべきです。企業の変化を後押しするため、私たち市民がもっとサステナブル・シーフードについて知り、近くのスーパーやメーカーにその需要を伝えることが大切です」と話しました。

【アンケート調査の調査概要】

◇調査方法:アンケートおよび回答票を送付

◇調査期間:2017年4月3日(月)~7月6日(木)

◇調査項目:調達方針、資源、漁法、IUU漁業、洋上転載

◇調査対象:売り上げ、店舗数、関連企業などを総合的に判断し業界の大手20社を選出。

ツナ缶の国内シェア約70%を占めるメーカー:はごろもフーズ、いなば食品

スーパー・生協:イオン、イトーヨーカドー、イズミ、イズミヤ、オークワ、コープデリ生活協同組合連合会、西友、バロー、フジ、平和堂、マルエツ、ユニー、ヤオコー、ライフ、ラルズ

コンビニ:セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソン

注1)グリーンピース・ブリーフィングペーパー 「ツナ缶メーカー・小売の調達方針について調査」http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/press/2017/20170713_Briefingpaper_CannedTunaSurvey.pdf

注2)グリーンピース・レポート「変化の波 ーTurn The Tide」

http://www.greenpeace.org/japan/ja/library/publication/20170511/

注3)グリーンピース・プレスリリース 「タイ・ユニオン、シーフードの持続可能性と社会的責任の向上を発表ーーグリーンピースのキャンペーンで水産業に前向きな変化」

http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2017/pr20170711/

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